“デトロイト3”の反撃

「そこまでやるのか!」

日本を含めて、世界の自動車産業が驚きました。
長きにわたり「ビック3」と呼ばれてきたGM 、フォード、クライスラー。しかし2008年のリーマンショックでGM 、クライスラーは経営破綻。フォードは慢性的な赤字体質に苦しんだ。アメリカのメディアは、三叉の世界市場に対する影響力が低下したとして、ローカルなイメージを強調して「デトロイト3」と呼ぶようになった。

ところが、連邦政府からの資金援助や大幅リストラで事業基盤を立て直し、さらにはリーマンショックによる庶民の自動車購入の買い控えの反動で、アメリカ国内販売はV時回復する。その勢いに乗ってデトロイト3は、日欧自動車産業世界に対して“再挑戦”するための秘策を行ってきた。それが車載器での独自のアプリサービスなのです。

まずフォードが動きました。 2012年1月のCESで、マイクロソフトと共同開発した車載用OSのsync(シンク)を使ったアプリをプラットフォームを公開しました。アプリ開発は第三者が行い、採用されたアプリに対するロイヤルティーは発生しません。 SDK(ソフトウェア開発キット)はweb上で公開されていて、個人でもアプリの開発は可能なのです。開発に際しては適合試験を目的としてフォードから開発者に車載器ハードウェアそのものを貸与する。

「AppLink」は2013年のCESで正式にスタートしました。2014年1月からは採用アプリ数は60程度になっています。そのほとんどは音声アプリという内容です。例えば、大手新聞のウォールストリート・ジャーナルやUSAトゥデイの読み聞かせなどが主な内容になります。これらのアプリは無償でユーザーに提供され、開発者側の主な収入源は音声広告なのです。また動画やゲームは運転に支障を及ぼすため採用されてはいませんが、今後は作業停止や後席専用での採用が検討されている状態になっています。

「AppLink」の開発者は「フォードには直接的な利益は発生しない。このサービスをきっかけとして新車販売を伸ばすことが最大の狙いだ」と話しています。同社の調べでは「syncが搭載されているフォード車を選んだ」と答えた人は、ボードの新車購入者の約7割に達しているそうなのです。

フォードの働きに対して、 GMは2013年のCESで車載器向けのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)に対応したSDKを公開しています。こちらは.html5を使い、 GMシボレー向けの「mylink」やGMキャデラックの「CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)」て採用しています。使用する車載器は、アメリカのディルファイ、ドイツのボッシュ、そして日産の電気メーカー各社が提供しています。

パナソニック関係者は「APIが共通なので、各社のユニットは当然共有できる。しかし正直なところ作動にどのような不備が発生するのか、実際に運用してみないと分からないのが現状です。」と」もらしています。

そしてGMは2014年のCSで、アプリサービスの「APPSHOP」を発表しています。インターネットラジオの「iハートラジオ」など11のアプリを用意する予定です。 2014年の夏を目安に、専用SDKで第三者が開発したアプリのダウンロードサービスを始めるそうです。同時に米情報通信大手のAT&Tと車載器対応でLTEサービスを開始し、アプリのダウンロードの高速化を図ります。また車内WiFiの環境が整い最大で同時に7つのスマートフォンやタブレットが使える。「APPSHOP」の開発責任者によると、「専用アプリの開発者に対してはロイヤリティが発生する場合がある。ユーザーに対してもアプリによっては有料になる可能性が高い」と説明しています。

またクライスラーもライバルに車を追撃しています。同社の先行商品企画部門の関係者は、
弊社の最新型車載器は、ハア・バイ・ハーマンと契約。そのためハーマンと協業しながら先行するフォードGMと同様に第三者によるアプリ開発サービスを開発中です。できるだけ早く市場に投入したいと語っています。

「ハア・バイ・ハーマン」は
アメリカの大手オーディオメーカーの看板が提供する車載器のWebコンテンツのクラウド・プラットフォームです。

こうした「デトロイト3」の反撃のきっかけは大きく2つあります。1つはAT&TやVerizon wirelessなどの大手通信の通話料の低価格パッケージ路線より、アメリカ国内でiPhoneとAndroid端末によるスマートフォンが1010年ごろから急激に普及したこと。

2つ目はそれより「パンドラ」や「iハートラジオ」などの音楽配信サービスやインターネットラジオをスマートフォンを通じて車載器で無料視聴できるようになったことがあげられます。また1013年に高速データ通信サービスのLTEが全国で対応するようになった影も大きいのです。

世界市場の中では、LTEはアメリカと同様に日本でも普及が進んでいます。しかし車載器による音楽配信サービスは日本の音楽業界の強い抵抗もあり一見していません。「日本の大手商社とともに5年以上にわたりJASRAC(日本音楽著作権協会)と協議していますが、埒があかないのが実情です。当面日本でのサービスは行わない方針です。」という実情を変える事は難しい。
さらにカーナビについてはデトロイト3の戦略が2着自動車メーカーに対して出遅れたことが奏功した。その詳細については後述いたします。

こうしたフォードGMの働きに対して、日系メーカーは積極的に動こうとはしていないのです。なぜなら前出のAGL、OAA、iOS in the carなど、インフォテイメント系のテレマティクス関連のコンソーシアムが乱立する中「今は過渡期でありもう少し様子を見るべき」と言う声が強いのです。そうした中状況を逆手にとって、独自の次世代テレマティクス戦略を進めているのが松田なのです。

2013年後半に、小型車「アクセラ」で導入した「松田コネクト」向けアプリ開発として、独自のSDKを米国ベンチャーのオープンカー社と共同開発した。各種OSにも対応可能な柔軟性を持たせて、他の自動車メーカーも巻き込んでマツダ流の世界標準化を狙っています。こうした大胆な発想を決定したことについて、まずは技術部門を統括する役員は口語っています。「いまは自動車産業の大きな変わり目です。今なら松田がAppleのような存在になれるかもしれません。失敗しても構わないから、思い切ってやってくれとGOをかけました。」

カイトリチュー