「自律型移動体」時代の幕開け?

こうした日本の動きに対してアメリカでは、連邦政府による自動運転の明確な施策がないなか、国や自治体はどう対応しているのだろうか?アメリカでは道路交通や車両運送に関する法律は運輸省が管轄している。同省の道路交通安全局は2013年5月、自動運転の種別に関する指針を公開した。それによると、通常の運転をレベルゼロとし、完全自動運転のレベル4までを5段階に分けている。

だが、実際の法整備については、州政府が個別に行う。また、州政府によつて道路整備や道路インフラに対する予算規模は大きな隔たりがあり、日本のような「路車間通信」を主導とした自動運転システムが育ちにくい環境だ。こうして日米での自動運転技術開発の実情を比べてみると、日本が国の主導のもと産学官連携が進み、アメリカよりも″まとまりがよく、普及に向けた推進力が強いクように思える。

だが、現実は違うのではないか? 両国が目指す自動運転の方向性の違いが大きいのではないだろうか?日本の「オートパイロツト」は、高速道路を鉄軌道に見立てたようなク逸脱しにくいルート″という安全策だ。技術開発についても、ADAS (先進運転支援ヽンるアι と呼ばれる領域でのレーンキープアシストなどの既存技術の正常進化を想定している。対するアメリカは、 一般道路を含めたク自律走行クに重きがある。そこには国防予算をつぎこみ、次世代の防衛および戦闘を念頭にしたDARPA (防衛高等研究計画局)の賞金レースに見られるような軍需への対応が大きく影響している。

そのDARPAは「アーバンチヤレンジ」から5年後の2012年、自律型ロボットによる賞金イベント「DARPAロボテイクスチヤレンジ」の開催要項を発表した。企画の背景として「福島第一原子力発電所での事故を受けて、危機管理の観点から高性能な自律型ロボットの技術革新が必要との認識」があつた。基本的なルールは、自律型ロボットが歩行、自動車の運転、そして瓦礫のなかを登つて、円形のバルブを締めるというルートを完走することだ。

書類選考などを経て、第一回のトライアルが2013年12月にフロリダ州の自動車レース場・ホームステッドレースウエイで実施された。こうしたDARPAの動きからもわかるように、アメリカが目指すのはク自律する機器全般クであり、そのなかに「自動車も含まれる一という解釈だ。さらに、現在は遠隔操作されている無人攻撃機「プレデター」などの航空機分野でも当然、「自律型飛行」に向けた研究開発が進む。こうした広義における「自律型の移動体」において、自動車産業界という狭い領域では考えもつかなかつた「次世代の移動のあり方」が、アメリカを基点に掘り起こされることになるだろう。「グーグルカー」はそうした「自動車の大変革」の小さな一歩に過ぎないのだ。

カイトリチュー