好調の軽自動車にふりかかる受難とは?

内需減少の四つ目の理由が、軽自動車税や車両規定の見直しの影響です。政府は2013年 ‐2月に発表した税制改正大綱のなかで、2015年に廃止される自動車所得税の代替として軽自動車税の増税を決めました。乗用の四輪軽自動車の場合、現行の7200円から1 ・5倍の1万800円に変更されました。また、TPP交渉と並行して行われている日米二国間協議のなかで、アメリカは日本に対して車両安全基準、排気ガス規制基準、さらに次世代車などの補助金の設定枠の見直しを強く迫ってきました。そのなかで、軽自動車を非関税障壁の象徴であるとして、車両規定の改訂を求めている。

こうしたアメリカのやり方は極めて不自然です。そもそも、国際社会において車両の安全一般、衝突安全、ブレーキと走行装置、排気ガスとエネルギー、騒音、灯火器の基準協議は、国連欧州経済委員会(uNEcE)の自動車基準調和世界フオーラムで議論されるべきものなのです。さらに日本が独自に行つている補助金施策に首を突つ込んでくるのは内政干渉だと思います。また別の視点では、アメリカという外圧を利用して、「軽自動車が目障り」と考える日本の一部の勢力が軽自動車規定の撤廃を画策していると思われます。

このような状況について、 “ミスター軽自動車”こと、スズキの鈴木修会長兼社長は2013年春以降、様々な場所で、アメリカがTPP交渉のなかで軽自動車を持ち出すことは「TPPとまったく関係のないこと。こじつけだ」と主張してきました。

また、2013年末に都内で開催された多目的軽自動車「ハスラー」の発表会で、NHK記者の「政府が月例経済報告のなかで、4年2カ月ぶりにデフレという文言を外しました。(そうした状況について)どのような実感を持っているか?」との質問について次のように答えました。

日本経済全体ではなく軽自動車の事業に話を絞ると前置きしたうえで、「」推察の通り、(2014年4月の消費税8%、2015年4月の軽自動車税の引き上げ、同年10月の消費税10%の可能性などを鑑みて)極めて深刻な事態を迎えたと、現時点の見通しはそう思っている」(鈴木氏)。こうした軽自動車にとつて厳しい状況が続けば、「軽自動車がライフライン」という地方都市や中山間地域の顧客層を除き、「軽自動車なら維持費が安いので持っていた」という主婦層などは軽自動車を手放す可能性があると言えるのです。